ジョン・ウィック ★★★
傑作とは言わないが十分楽しめるゴージャスなB級アクション(A級じゃないと思います)。
ジョン・ブックじゃなくジョン・ウィック。ブックは刑事だが、ウィックはロシアンマフィアさえ恐れるスーパー殺し屋。
結婚するためきわどい仕事をこなして足を洗い、幸せに暮らしていたのが最愛の妻が病死。葬式の一週間後、うちひしがれたジョンのもとに「あなたがさみしくないように」と亡き妻から子犬が届く。
子犬と一緒に前向きに生きていこうとするジョンだったが、たロシアンマフィアの首領のバカ息子に、犬を殺され、車を盗まれた。もうジョンの怒りは止まらない。一人VSロシアンマフィアの壮絶な戦いが始まる。
こんなガチガチのアクション映画のようなあらすじのくせしてして実はかなりの変化球。
ジョンが暴れれば暴れるほど、モブキャラが死ねば死ぬほど、思わず笑ってしまう。
人を食ったような設定、展開。しすて微妙に予想を下の方に裏切る謎展開。これは明らかに意図的なもの(ラストを観ればわかるはず)。
そこを笑えるか、なんじゃこりゃと怒るかで、本作の評価は変わる。私は前者。
私は十分楽しめた。傑作!とは言わないけれど、週末に借りるディスク5枚のうち一枚に選んでも、決して損はしないと思う。
ただ、次から次へと繰り出される殺人アクションは確かにすごいけれど、『キングスマン』の協会シーンを見た後だとかすんでしまう。惜しい。
個人的に気になったのは、銃をもたせたらあんなに強いジョンが格闘になるとそんなに強くないところ。
雑魚なんか、もっと簡単にかたづけてほしい。
アリスのままで ★★★★
主演のジュリアン・ムーアがアカデミー主演女優賞を受賞した映画。
ジュリアン・ムーア分する言語学者で大学教授が、若年性アルツハイマーを発症する。抜け落ちていく記憶、失われている尊厳、そして病状は着実に進んでいく。
あまり饒舌な映画ではない。全体を通して説明らしき説明がほとんどない。悲劇をあおって、ことさら泣かせようともしていない。お涙頂戴の難病ものではないのだ。
絵心ある美しいシーンがたんたんと進むから、逆にジュリアン・ムーアの演技がさらに際立つ。病状が進んでからの何とも言葉にしようのない複雑な表情は、それだけで逃げ場のない状況がリアルに迫ってくる。
観る者すべての人は何か思うはずだ。これが自分だったらどうだろう。同様の病気の知り合いや、年老いた両親のことを思う人もいるだろう。
私は、肩書きや仕事、家族や友人や財産、そして記憶。後から与えられた要素をすべて捨て去ったとき、人そのものににどんな価値があるのだろう、ということを終始考えていた。
生まれそして死んでいく生命は、それだけに価値があるのか。経済、文化、さまざまな社会活動の中に所属しているから意味があるのか。その答えはまだ出ない(おそらく出ない)。
終盤の娘とのやりとりは胸にくる。だが、ひっかかるところもある。この感覚はなんだろう。まだよくわからない。もう一度観たら答えは出るのだろうか。でも、すぐに見返す気にはならないなぁ。