【歴史番組一覧　2016/1/25～31】　蛮社の獄、からくり、言海…バラエティに富んだテーマが魅力の週

今週の傾向：バラエティに富んだテーマが目立つ週

　前回、年末年始の真田ネタ集中の反動で、テーマがばらけていい感じと、書いた。
　今週の番組は、さらにばらけて、文化思想ネタまで広がってきた。真田 →　戦国時代と広がったところで、いったんいくさネタから離れてみようか、という制作側の余裕を感じる。個人的には大歓迎。
　
　『ヒストリア』は、なんと「からくり儀右衛門」で来た。「からくり儀右衛門」とは、幕末から明治まで活躍した発明家、田中久重の異名。予告を見ると、からくり人形総出演、という印象。
　ずばり同じタイトルのNHKドラマがあったことを思い出した。少年時代の儀右衛門を描いた子供向け作品。調べてみたら1969年の放映。新作ドラマとかあるのだろうか。
　『英雄達の選択』は、蛮社の獄。渡辺崋山と高野長英の決断を、歴史マニア、いや研究者が斬る。
　『そして傑作が生まれた』は大槻文彦。明治に文部省主導で作られた日本初の近代的国語辞典『言海』の編纂者。この番組は、テーマの人物がどう生まれ、どういう経験を得て、この実績を上げたのか、を描くことがテーマなので、生まれてから時系列的に死ぬまできっちり書くことが多い。
　大槻文彦は、江戸で儒学者の子として生まれ、明治になってから文部省に入る。それだけ聞くと普通だが、この人、維新の混乱の中、仙台藩の密偵になった経歴もあって、同番組にはぴったりな人物かも。
　『言海』は今でも入手できる。明治期の文化を知る上でも貴重な資料とのこと。未読なので、機会があったら目を通してみたい。

言海 (ちくま学芸文庫)
　『歴史鑑定』と『歴史捜査』は、どちらも江戸もの。それぞれ、将軍綱吉、天草四郎がテーマ（天草四郎は再放送）。
　『大江戸なんでも番付』は、三大そば。三大とは「砂場」「更科」「薮」のこと。そばが食べたくなるような番組になっていることを祈る。
　『せいこうの歴史再考』は、今週は１回目の再放送で坂本龍馬。
　１、２回を見る限り、『ブラタモリ』を下敷きにして(デザインや構成が似ている)、『見仏記』的なのりで、マーケティング寄りの視点からレポートする番組、と、私の中ではカテゴライズされた。BSで放送されている歴史番組の中では、一番の変わり種。
　この手法を、今後どう言う視聴者向けに発展させていくかがポイントのように思う。
　例えば、２回目の真田幸村編では、後半の「真田紐」のパートでは、売店に行って幸村グッズを見つつ、おもてなし武将隊が乱入してきて真田紐の解説をする、という構成だった（売れ筋商品ベスト５解説付き）。私見だが、これは誰のためのコーナー？　今風に言えば誰得？　と思ってしまった。どういう層を視聴者に設定しているんだろう。歴史好きでもライトの層？　なら、私なんかそれこそど真ん中なんだが。それとも、ビジネス系にもっていくのか。興味はつきない。３回目のテーマは前田利家で金沢。もちろん、予約済み。

中国史で新シリーズスタート

　中国史で新シリーズが始まる。
　BSプレミアム『中国王朝　よみがえる伝説』がそれ。2014年にBSプレミアムで３カ月に渡って放送されたシリーズの第二弾。
　中国皇帝の権力の秘密に迫るシリーズとのことで、前回シリーズのテーマは「曹操と孔明」「項羽と劉邦」「漢武帝と司馬遷」。
　新シリーズ第一回は清の乾隆帝と謎の美女・香妃。レポーターが俳優の濱田岳（『軍師官兵衛』で栗山善助役）。ゲストに浅田次郎を呼ぶという強力な布陣。
　再放送だが、ＢＳプレミアムで2013年に放送されたスペシャル『古代中国　よみがえる英雄伝説（全３回）』の２回目、３回目がある。案内役は中井喜一。

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