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【これ読み本】誰も見たことのないウルトラマンと山本弘のオカルト探偵シリーズ

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 今日、本屋で見つけた、「これ読みたい!」と思った本。2016/1/28版。
  みのり書房(中野)にて。

ウルトラマンデュアル 三島 浩司

ウルトラマンデュアル (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE) 三島浩司(早川書房)
 タイトルと、ダイナミックな筆致で描かれたウルトラマンらしきカバーイラストに目を奪われた。作者は『ダイナミックフィギュア』『ガーメント』のSF作家 三島 浩司。
 手に取り、裏表紙のあらすじを読んで驚いた。
 こんなウルトラマン、誰も読んだことがないのではないか!
 これは読んでいただくしかない。長いけど全文引用する(引用元はamazonの『内容紹介』。改行は著者)。

 地球征服を目論(もくろ)むヴェンダリスタ星人とそれを阻止するウルトラの戦士たちは激しく衝突し戦力を削りあった。どちらの援軍が先に地球に到着するかで、この星の命運が決まる──。
 地球は勝敗が決するまで、ウルトラの戦士に希望を託しつつヴェンダリスタ星人にも服従の態度を示さねばならぬジレンマを抱えることとなった。政府は苦渋の選択のすえ、傷ついた宇宙船で東京近郊に不時着したウルトラの聖女を、建前上はヴェンダリスタと同等の侵略者と位置づけた。ウルトラの聖女もまた地球の事情を察し、その一帯を“光の国の飛び地"として侵略支配することを宣言する。
 巨大な壁に囲まれ情報と物資の供給が絶たれた小さな飛び地に、ヴェンダリスタはウルトラの聖女を倒すため次々と怪獣を送り込む。地球のために涙する聖女に心打たれ共闘を誓った少数の者たちは、中立の立場を崩さない政府によって国籍を剥奪され、地球人であることを捨てて極秘のうちに飛び地へ渡った。
 そのひとり、二柳日々輝(ふたやなぎ・ひびき)もまた複雑な思いを胸に、光の国への扉をくぐるのだった……。
 強大な暴力に巻き込まれたとき、避けがたい理不尽に襲われたとき、自己犠牲の精神を目の前にしたとき、何を成すことが正義なのか? 君には今でも、ウルトラの星が見えているか?

 これは読んで見たくなりませんか? ちょっとお腹いっぱいな感じもするけど。
 ウルトラマンをめぐって地球が分断されていく中、主人公たちが孤独な戦いを強いられていく話、と見たが、違うか?
 同じ作者の『ダイナミックフィギュア』は既読。謎の異星生物と自衛隊の延長のような防衛部隊が二足歩行ロボットで戦う話。こう書くとラノベのように聞こえるが、ここまでリアルに書かなくてもいいんじゃないの、と思ったくらい重厚なSFだった。特に、異星生物とロボットを戦わせるために作り上げた世界観が緻密きわまりなかった。
 この作者が上記のような、荒唐無稽(よい意味で)なストーリーをどう語っているのか、とても興味深い。
 このシリーズは、早川書房と円谷プロのコラボレーションで生まれた、TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSEシリーズの第二弾。
 第一弾は7人のSF作家陣による競作短編集『多々良島ふたたび: ウルトラ怪獣アンソロジー』。
 「多々良島」にピンと来る昭和ウルトラマン世代向け。カバーの写真と一緒になると、私などイチコロである。
 かねてから読んで見たいと思っているのだが、残念ながらまだ未読。
多々良島ふたたび: ウルトラ怪獣アンソロジー (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)
 新解釈のウルトラマンと言えば、『鉄のラインバレル』の作者清水栄一・下口智裕の手によるコミックもはずせない。
 その名もズバリ『URTRAMAN』。ULTRAMAN(7) (ヒーローズコミックス) 清水栄一・下口智裕(小学館クリエイティブ)
 コミックヒーローズに連載されていて、現時点で7巻まで出ている。
 あらすじを引用する(引用元はamazonの『内容紹介』)。

 初代ウルトラマンであった早田進の息子・早田進次郎。彼は、父の身体に残っていたウルトラマン因子による影響で、生まれながらに特殊な能力を持っていた。
 平和と思えていた早田親子の生活は、突然仕向けられた敵の攻撃によって一変。進次郎は、抗えない運命に巻き込まれていく…

 ハヤタもいる、イデもいる、ダンもいる、ゼットン星人もいる。が、我々の知っているヒーローたちとはかなり違った等身大のヒーローが、都会の闇で戦いを繰り広げる。かなりの異色作。
 7巻まで読んできたが、まだキャラ紹介と世界観紹介の真っ最中といった印象だ。だが、作者の構想しているスケールの大きなURTRAMAN世界への手がかりは、次々と投げ込まれている。
 『ラインバレル』の時もそう思ったけれど、この作者、話をひっぱるのが実にうまい。ちょっと、やり過ぎなくらい。ちゃんと回収してくれるんだろうな。
 amazonのページでは試し読みもできるので、気になったらぜひ。

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怪奇探偵リジー&クリスタル<怪奇探偵リジー&クリスタル>  山本弘

怪奇探偵リジー&クリスタル 山本弘(KADOKAWA)
 私の大好きなSF作家山本弘の新刊が出てた。気づかなかったぜ。
 あらすじを引用する(引用元はamazonの『内容紹介』。改行は筆者)。

 第二次大戦前の1938年。ロサンゼルスに事務所を構える、女性私立探偵エリザベス・コルト(通称:リジー)と、助手の少女クリスタルのコンビが、街を震撼させる奇怪で残忍な事件に、特殊な身体と知性を駆使し、勇敢に立ち向かう。
 パルプマガジンの表紙絵にそっくりな惨殺死体、幻の特撮映画上映中に消えた人々、甦る中世イギリスの錬金術師の魔法、謎めいたタイムトラベラー、異空間から紛れ込んできた凶獣の暴走…。型破りな謎と解決法が痛快で楽しい5篇を収録。

これはよいに違いない。
『MM9』もそうだけれど、SFネタと超自然ネタと現実を融合させたら、こんなにうまい人はいないと思っている。しかも、特撮ネタやホラーにくわしい作者のことだから、ニヤリとするネタ満載と想像する。
 『MM9』も続きが読みたい。長編が続いたので、次は短編集を希望。MM9 (創元SF文庫 ) 山本弘

 懐かしい本がワイド版で並んでた。
『鋼の錬金術師』の荒川弘と『坊主DAYS』の杜康 潤、三国志マニアの2人による演技解説本。読んで楽しく、資料としても使えるすぐれもの。オススメです。 三国志魂 ワイド版 荒川弘・杜康 潤(コーエーテクモゲームス)

現在読書中:ヴァーナー・ヴィンジ『最果ての銀河船団 上』 おもしろいけど、長い…。

  • この記事を書いた人
小牧 克己

komaki

リキマルタイムス世話人。プロデューサー、編集者、ライター。ゲーム業界が長く、現在もゲーム事業やキャラクター事業周辺が主な活動範囲。

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