【歴史番組一覧　2016/2/15～21】小田原城を見るなら山の上に登るべし

小田原城はやっぱり周辺散歩なのね

　Eテレ『趣味どきっ！』の城めぐり入門シリーズ「お城へ行こう」も第３回。
　時間も25分と短く、城の知識のある人には食い足りない内容だが、天守閣・石垣のある城に偏らず、”土の城”も積極的に取り上げている方針が個人的には高評価。
　第３回は、長野、甲斐、三河を経て関東に入り、北条の城。小田原城と山中城だ。
　番組紹介によると小田原城は「惣構え」と上水道「小田原用水」(『ブラタモリ』でも紹介されていた)。秀吉の小田原攻めの激戦地である山中城は、北条の城の特徴の一つ、畝堀（うねぼり）や障子堀（しょうじぼり）が紹介されるらしい。
　山中城は順当として、小田原城はおそらく惣構えの周辺を歩いて終わりだろう。惣構えは小田原城の最大の特徴だとはいえやや残念。
　秀吉による小田原攻めの頃、今の城が建っている丘（小田原市城址公園。江戸期の城のあったところ）には居館があり、背後の山、八幡山に詰めの城があった（小田原高校のあるあたり）。山の上には大堀切が残っており土の城好きにはたまらないのだが、一般の方には視覚的に地味だからなのだろう。他の小田原城紹介番組でもほとんど取り上げられないのだ。
　だが、詰めの城、八幡山に登ると、いろいろなものが見えてくる。
　まずは、秀吉が小田原攻めの時に築いた石垣山城との位置関係。
　石垣山城は、城址公園の天守閣（中は博物館）からは遠く見上げるかたちだが、八幡山の上から見るとほぼ真横やや上に見る位置に来る。
　北条氏は、よく見える山の上に城を作られた上に、連日、石垣山城で繰り広げられる宴席や歌舞音曲を間近に見せつけられていたのだ。
　その上、八幡山の上からは、惣構え全域を見渡せるから、城を包囲する大軍の威容がいやでも目に入る。
　この心理的圧迫感は相当なものだったろう。これは、城址公園から見ているだけでは、まったくわからない。
　また、最近の発掘では、江戸期の城跡では倉庫があった場所の下から、屋敷跡と一乗谷に似た庭園も発見されている。中世小田原城の構造に新しい視点が加わっているわけで、このあたりが取り上げられる小田原城紹介番組がぜひ見たい。よろしくお願いします。

　山中城は、畝堀、障子堀だけでなく、公園としてきちんと整備されていて北条の城の作り方がよくわかるオススメスポットである。街道を挟むように作られた城なので、道も整備され、静岡県側の三島市から登っていくとすぐ。
　また、戦闘で多数の死者を出したこともあり心霊スポットという人もいる。霊が見える人はぜひ行って感想を聞かせてほしい。

　他には、『歴史鑑定』の賤ヶ岳の戦い、『歴史捜査』の鳥羽伏見の戦い、『古地図で謎解き』の京都伏見稲荷が、個人的には楽しみ。
　土だけの城には決して近づかない『日本の城見聞録』は「現存十二天守スペシャル」。山城の中で唯一天守が残る備中松山城と、国宝天守の姫路城、彦根城、犬山城、松本城、松江城が紹介される。鉄板です。
　

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